It lives both. 1
Please the world is broken. (どうか世界を壊して)
焼いたばかりのトーストを片手に足で扉を開けると一羽の梟が中へと飛び込んできた。
レオという名で小さい頃から可愛がってきた。
手紙を咥えて、取れと合図してくるものだからがさっさと口に咥えていた手紙を取ってやると疲れ果てたように自分の寝床に帰っていった。
『家本家 本日11:00
アルバス・ダンブルドア』
「・・・」
身を隠しているというのに・・・。
この人はどうやって私の居場所を調べたのだろう。
返事をしろ、と書いてないことから強制なのが分かる。
ああ。変わってない。本当に変わってない。
私がホグワーツを去って何十年たったと思ってるんだか。
私は、三十をすぎてもどうも彼の生徒の一人であるらしい。
呆れながらも一応ローブを羽織ってしまう自分が憎らしかった。
少しばかし歩くと本家は目の前だ。
本当はもっと遠くに移り住む予定だったのにここにしてしまったのはきっと安心している自分がいるからだろう。
扉を開けるとここが木ばかりが生えた森だということに気付かされる。
巨大な沢山の木を避け、私は森の奥へと急いだ。
約束の時間までそんなに時間はない。
そう思うと足は自然と早くなっていた。
目の前に見えた大きな扉。
ここが私の本当の家。
そして帰る場所でもある。
だが、それは過去の話。
扉を開けて中へ足を踏み入れると床からふわっと埃が舞った。
十何年もここに足を踏み入れていないのが一目で分かるようだった。
そして奥の母の部屋へと足を運ぶとそこには待ち合わせの人物が立っていた。
「久しぶりじゃのう、」
「・・・お久しぶり、アルバス・・・」
素っ気無い返事を返してみるものの彼の笑顔は途絶えなかった。
ああ。本当に変わっていない。
「・・・何のよう?
呼び出したって事はさぞかし大切な話なんでしょうね」
「そうじゃ。直接会って話さねばならんだ」
嫌味のつもりで言ったのだがアルバスにとってとても大切な話らしい。
ここを選んだ時点でなんとなくは分かっていたのだけども。
アルバスは小さく開いた口から言葉を発した。
「騎士団のメンバーに加わってほしいのじゃ」
ただ、ぽつんとその場が一瞬静まり返った。
その後しばらくは二人とも口を開こうとすらしなかった。
その沈黙を破ったのはあきれたようなの言葉だった。
「不死鳥の騎士団・・・?
あの何年も前に解散したあの?」
「そうじゃ」
の問いにダンブルドアは頷く。
「私が、それに入る?」
「そうじゃ。君の力は騎士団の巨大な力になる」
「バカバカしい」
ため息と共に吐き出した声は自分でも驚くほど冷徹だった。
は内心そんな自分に驚きながらも言葉を続けた。
「確かに、私はヴォルデモートが嫌いよ。
それも大っ嫌いの範囲に入るわね」
近くのソファを覗き込むと埃が積もっていたのではそれを息で吹き飛ばした。
すると誇りはふっと小さく空中に舞った。
それでも完全に汚れは取れないまま。
そこに座るのを諦める他なかった。
行き場のなくなった体はウロウロと広間を行き来する。
第三者や、ダンブルドアから見れば座るものを探すように徘徊しているように見えるがにとってはそうではなかった。
どうしようもない。
そんな怒りをウロウロする事で発散しようとしていた。
「それに何のための騎士団なの?
ヴォルデモートは死んだ!それで十分じゃないの!」
鼻で馬鹿にするように笑うレイナ。
まるで怖いものなどなにもない、と言っているかのようだった。
だが、まだそれに続けるようにしては声のトーンを落とした。
「それに・・・私は、あそこにいるべきじゃない。
だって、私はまだ、彼のことを、シリウスのことを信じて待っているんだの」
「だからこそ、じゃ」
の肩にダンブルドアは手を乗せるとそのまま彼女を落ち着かせるためにかポンポンと軽く叩いていた。
はそんな宥めにもっと悲しさを感じた。
「シリウスが、ジェームズやリリーを裏切るわけない・・・」
「そうじゃ」
「アルバスも、それを知ってたのね」
ダンブルドアは静かに頷いた。
だったら、どうしてとには言えなかった。
は知っていた。
死喰い人として捕らえられた人間は裁判にもかけられることなくアズカバンに送られているのだから、どうしようもない。
どうしようもなかったということに。
そして今回のシリウスの脱走。
彼は何かを知っている。本当の真実は彼しか知らない。
にはたった今、気付いたことがあった。
それはダンブルドアの誘いの奥にあったもの。
シリウスの”無実”を晴らせるかもしれない時間をくれるということ。
は泣きそうな顔を振り払い、ダンブルドアの誘いに大きく頷いたのだった。